アメリカの大学を選ぶ - 大学の選択 Choosing a College or University

Dave Anderson

3000校以上の大学があるアメリカでは、大学の選択肢は無限と言っても過言ではありません。コミュニティーカレッジをはじめ、専門大学、私立の一般教養系大学、公立の大規模な総合大学までさまざまな形態の大学があり、ほぼだれでも自分に合った進学先を見つけられるのが、アメリカの高等教育システムの優れた特徴のひとつです。その無限の選択肢の中から1校に絞るには、自分にとって何が優先事項かを考える必要があります。また、地理的条件や規模、取得できる学位などを考慮することも重要です。

実際に大学のキャンパスを訪れたこともなければ、まして一度もアメリカに来たことがないという人にとって、海外からの入学申請手続きは特に大変な作業になるかもしれません。そういう場合は、大学の所在地や在学生、教授について、より慎重に下調べをすることが大切です。これらは学問の内容と同様に、重要なポイントになります。

長期的な目標達成を念頭に早めにスタートしたい下調べ

興味のある大学に関して、じっくり時間をかけて調べましょう。どんな大学が自分に向いているかを理解するには長い時間がかかります。少なくとも入学の12~18カ月前から大学の下調べを始めましょう。アメリカの大学の大半は8月または9月に開講することに注意してください。留学生の多くは、高度な大学教育についていく英語力を養うために、事前にESLプログラムで3~9カ月間英語を学ぶことも考慮する必要があります。

留学先を決定する過程で、チェックしなければならない事柄は想像しているよりずっと多くあります

アメリカの大学に関する情報入手先

教育アドバイザー

数多くの選択肢の中から志望校を選択する上で、適切な関連情報をどこから入手するかをきちんと理解することが役立ちます。学生の多くは、教育アドバイザーから大学に関する情報を入手しています。この教育アドバイザーとは大まかな定義であり、さまざまな人物や組織団体がこの役割を果たしています。

アメリカの政府機関としては、大使館・領事館の広報部門が支援するアドバイスセンターのほか「エデュケーションUSA」とフルブライト委員会事務局のオフィスが世界中にあります。また、日米共同で支援する留学センターや「インスティテュート・オブ・インターナショナル・エデュケーション」などの非営利国際教育機関によって運営されている留学相談センターも多数あります。

このような団体は通常、無料でカウンセリングを行っていますが、切手代やコピー代などを別途徴収する所もあります。ほとんどの留学センターでは、アメリカの大学のパンフレットやカタログが置いてあるほか、大学情報入手のためのインターネットアクセスも可能です。また、TOEFLSATGREGMATACTPearsonIELTSなど、留学する際に重要となるテストの資料なども入手できます。ビデオにてアメリカの大学やキャンパスライフを紹介する留学相談会を開催する留学相談センターも多く、そこではアドバイザーに直接質問や相談をすることができます。

アメリカに留学した経験を持つ親類や友人に相談する場合は、人柄を知り、信頼を寄せる人物に留学先の詳細をじっくり聞くことができるという利点があります。しかし、このような「内々の教育アドバイザー」の情報は1、2校に限られているだけでなく、人によって価値観が違う点に注意してください。広範囲な情報を得るためには、それらの情報だけに頼ることはお勧めできません。

民間の教育相談専門機関を抱えている国も多くあります。このような機関は一般的に非営利団体に比べ、より多くの資料をそろえている上、大学のみならず、数多くの集中英語プログラムと提携しています。手数料を払えば、学校選択から入学申請、ビザ手続きまで、サポートを受けることもできます。

ELSランゲージセンター(ELS Language Centers)では、多くの学生が卒業後、アメリカの大学に進学しています。同センターのウェブサイト(www.collegedirectory.els.edu)には、ELSランゲージセンター卒業後にTOEFL免除で大学の学位を取得できる情報が詳しく掲載されています。

また、日本にいる学生だけでなく、すでにアメリカ国内で学校に通っている学生向けにも、ELS大学入学斡旋サービスを提供しています。詳細は、Eメールでupsinfo@els.eduまで問い合わせてください。

インターネット

今日の学生は、一世代前の学生に比べ、インターネットでより多くの情報にアクセスできるようになりましたが、その反面情報過多に悩まされるという問題にも直面しています。そのため、一般的にインターネットは特定の大学や専攻分野に絞って利用するのが最善と言えます。

www.StudyUSA.comを筆頭とする多数のウェブサイトには検索エンジンが設定されているため、絞り込み検索ができ便利です。www.StudyUSA.comwww.ESL.comは、特にアメリカ留学を希望する海外からの学生のために作られており、アメリカ留学全般についての情報を得ることができます。

このようなウェブサイトを利用すると、情報が絞り込みやすくなるとともに、プログラムの選び方やビザの取得方法、大まかな学費など、貴重な情報を入手できます。日本語での検索も可能な上、学校に直接問い合わせたり、入学申請をすることもできます。

学校の選定基準

それでは、実際に高等教育機関への進学を考慮する上で無数の選択肢の中から留学先を絞りこめるように、選定基準をあげてみましょう。次に挙げる基準はすべて重要ですが、人によってそれぞれの重要度は異なります。これらの要因を頭に入れ、自分にとって最も重要な優先事項について考えましょう。

専攻分野「メジャー」

アメリカの大学では通常、他国の大学のように入学時に専攻分野を決める必要はありません。しかし、学びたい分野が前もってわかっている場合は、志望校に同分野で認可されたプログラムがあるかどうかを調べておきましょう。ビジネスや情報技術のような人気の専攻分野はほとんどの大学で学べますが、海洋生物学や考古学のようなより専門的な分野に興味がある場合、事前に調べておくことが重要です。

少数の専門的な高等教育機関を除き、アメリカの大半の大学では、数多くの科目がそろっています。ほとんどの場合、専攻分野の勉強をしながら他の科目も履修する事ができます。伝統的なリベラルアート(一般教養)系の大学では通常、理系および文系の学士号を取得できるとともに、教授とより密な関係を築いたり、研究により深く関われるという利点があります。

アメリカにはビジネスや工学などの専門大学もあるので、主に専攻分野の科目だけを教えるような大学を選ぶのも一つの方法です。また、幅広い分野の科目を教える大学で、専攻以外の科目を同時に学ぶのも一考です。

学士課程および大学院

情報収集や入学申請の際には、その学位課程が自分に的確なものか注意しましょう。高卒、大学在学中、または中退した学生は、大学課程(2年間の準学士号または4年間の学士号)に申し込むことになります。ほとんどの大学課程の場合、特定の学部でなく、大学に申し込みます。

修士号や博士号は大学院で取得しますが、志願する大学院が夜間や週末だけのプログラムではないか確認することが重要です。なぜなら夜間や週末だけのプログラムでは、正規の学生ビザステータスを満たすことができない恐れがあるからです(MBAプログラムの多くは、夜間や週末だけのプログラムです)。

大学院に申し込む場合、大学課程への入学とは異なり、志望するプログラムに直接申請します。大学院に進学する場合には、大抵GMATやGREのような標準試験のスコアを提出する必要があります。また、4年制大学卒業の学士号に相当する学位を有していることが前提となります。

教育水準および評判(ランキング)

アメリカの大学の中には、入学競争率が非常に高い所があります。特に有名一流大学となると、外国人留学生の入学は難しくなります。ほとんどの学生の場合、全米上位50校にランクされる大学への入学に固執するよりも、学びがいのある質の高い教育を行っている大学に行く方が現実的といえます。

各大学の入学選考基準を調べ、自分の学業成績が基準を満たしているか確認しましょう。また、志望大学に入学できる可能性について、進学指導の先生やカウンセラーに相談してください。アメリカの大学は通常、学生の入学選考の際に、学業成績のほか、課外活動への取り組みも考慮します。入学に必要とされるTOEFLなどの一般的なテストの得点も大切ですが、学校の成績の方がより重要視されます。

所在地

選択肢が多すぎて留学先を決めかねている場合は、どんな地域に住んでみたいかを考えてみるのも一案です。例えば、出身地が温暖な気候の学生の場合、有名な大学はあるものの、寒冷地であるニューイングランドに住めるかどうか、考慮すべきでしょう。アメリカに留学している学生の大半は、東海岸や西海岸付近に住んでいます。

特定の文化活動やスポーツ、レクリエーションを勉強の合間に楽しみたいかどうかも、留学先を選定する重要な要因となります。ウインタースポーツに興味があるならコロラドやバーモントのような山岳地域、サーフィンを楽しむならフロリダの大西洋岸、演劇好きならサンフランシスコやニューヨークなどと、興味によって留学先を絞り込むこともできます。

日本人留学生の中には、日本人コミュニティー近辺に住みたい人もいます。そのため、ニューヨークやロサンゼルスなどは留学生に人気があります。

その一方で、アメリカ文化にどっぷり浸れるように、「アメリカの真ん中」に当たる中西部を選択する学生もいます。全米でも最も重要な研究所を抱える大学の多くは、カンザス州ローレンスやウィスコンシン州マディソンのような小さな都市や街にあり、このような都市は海外では知名度が低いかもしれませんが、アメリカでは比較的生活費が安く、質の高い「大学の街」としてよく知られています。

立地環境(都会、郊外、町)

留学先を決める上で、どの地域に住むかだけでなく、どのような立地環境に住むかということも重要です。すべての大学がニューヨークやサンフランシスコ、シカゴのような大都市にあるわけではありません。先に述べたように、毎年何千人もの留学生が入学する優良な大学の多くは、小さな都市や町にあります。大都市出身の人は、そのような小都市での生活に馴染めるかを考える必要があるかもしれません。しかし、毎年何万人もの学生が小さな町の大学に留学していることからも、ほとんどの人が新たな土地に順応できるといえるでしょう。

妥協案として、大都市周辺の住宅地である「郊外」を選ぶという方法もあります。アメリカの郊外には魅力的な大学が数多くあります。郊外は、住宅地の静寂さと国際的規模の施設が必要とするスペースに恵まれており、同時に都会の華やかさも簡単に味わうことができます。もちろん、大都会の中心には選択しきれないほど多くの大学があります。

留学費用

生活費を含めた留学にかかるすべての費用を計算してみましょう。留学費用に関する情報の多くは、各大学のウェブサイトで調べることができます。通常、私立の一流大学の学費は、公立大学より高めですが、中には公立と学費が変わらない所もあります。

一般的に、東海岸や西海岸から離れた地域ほど生活費が低く、場所によってはかなり安く生活できます。優れた大学システムで有名なカリフォルニア大学(University of California)とカリフォルニア州立大学(California State University)の場合、魅力的なロケーションに良心的な学費の分校が数多くありますが、生活費が他州に比べ2倍近くかかるため、総費用が高くなる可能性があります。

大学の規模

留学生のほとんどは、大規模な研究大学に入学しています。通常、このような大学は州政府からの助成金で成り立っている公立大学であり、一般的に海外でもよく知られた「ブランド名」があります。しかし、大規模な大学よりも、何百もある小規模の大学の方が学習に適している場合もあるので、考慮してみる価値があります。

一般的に小規模の大学の方が、「守られた」環境にあり、1クラスの学生数も少なめです。学生対講師の比率も低いため、留学生に親身に対応してくれる可能性が高く、教育的にも文化的にもアメリカに適応しやすいといえるでしょう。また、小規模の大学の方が、大学生活そのものにも慣れやすいかもしれません。

研究に力を入れている大規模な大学には、建築学や工学のような技術的な専攻分野があり、公立の場合、学費も低めです。このような大学には留学生が多く、日本人留学生も在学していると思われます。

TOEFL条件(TOEFL免除)

ほとんどの留学生にとってTOEFLは不安の種ですが、英語で教育を受けていない限り、ほぼ避けて通れない試験です。各大学によって入学必須条件は異なりますが、通常、有名大学ほどより高いTOEFLスコアが要求されます。したがって、留学希望校の入学条件を事前に調べておくことが必要です。

アメリカの大学の中には、留学生に人気の高い「TOEFLウェーバーオプション」と呼ばれるシステムを採用している所があります。このシステムは、大学付属の集中英語プログラム(または提携英語プログラム)の最上級クラスを修了した場合、大学にTOEFL免除で入学できるというものです。ELSランゲージセンターなどのような私立の語学学校も、TOEFL免除で入学できるように数多くの大学と提携関係を結んでいます。

認定制度

認定(Accreditation)とは、大学やプログラムが全米の教育水準に見合うことを証明するもので、希望校が認定されているかどうかの確認は非常に重要です。非認定の大学に入学しても、取得した単位が編入先の認定大学では認められず、編入できない場合があります。また卒業後、日本政府に学位を認められず、希望の職種に就職できないこともあるので注意してください。

アメリカには、文部省のように全米の高等教育の基準を制定する政府機関はありません。各州政府も、承認や認可を行うことはありますが、これは学校の経営状態や営業免許の面であり、教育の質自体は認定しません。

代わりに、アメリカでは大学が提携して組織をつくり、独自の基準を設けています。「認定機関」と呼ばれるそれらの組織が、それぞれの大学を査定します。基準に見合う大学は「認定」され、認定機関の学校リストに掲載されます。認定校であり続けるには、これらの高い基準を保持する必要があります。

認定の種類

アメリカの大学の認定機関には、インスティテューショナル(institutional)とプロフェッショナル(professional)という2種類の組織があり、日本政府は、これらの組織に認定された大学の学位しか認めないことがあります。インスティテューショナル認定が大学組織自体を認定するものであるのに対し、プロフェッショナル認定は、法学、医学、工学、ビジネスなどの特定のプログラムを認定しており、これらの専門分野から選ばれた認定官によって決定されます。

認定校については、高等教育認定委員会(Council on Higher Education Accreditation)の公式ウェブサイトwww.chea.orgや、米国教育情報ネットワーク(U.S. Network for Education Information)の公式ウェブサイトwww.ed.gov/NLE/USNEIを参考にしてください。

本誌「Study in the USA」に掲載されている学位を授与する大学は、すべて公式に認定されています。語学学校など、学位を授与しない学校やプログラムの認定の有無は、それぞれの専門組織への加入状況により異なります。

学校への連絡

志望校を吟味したら、6~8校に的を絞り、これらの学校からさらに詳しい情報を取り寄せます。本誌のウェブサイトwww.StudyUSA.comからオンラインで資料を請求してください。語学学校、大学、大学院では、それぞれ入学申請先が異なる点に留意してください。大学に入学を希望する場合には大学課程の入学事務局に、大学院進学の場合は入学を希望する専攻の院長や大学院の入学事務局に連絡をします。Eメールで連絡を取る際には、本誌で学校の広告を見たことを書き添えましょう。学校側から、授業カリキュラムや課外活動等を説明したパンフレットが、郵送またはEメールで送られてきます。

以上のような手順で、アメリカの大学に求める優先事項を整理し、情報収集を始めましょう。アメリカは、学習をするのに素晴らしい国です。皆さんが希望する大学に無事入学できるよう、願っています。

留学前に確認しておきたい事項

  • どのような教育を受けたいのか
  • 将来の目標は何か
  • 異国で4年間過ごす心構えができているか
  • 留学には生活費も含め、総額いくらかかるか
  • 日本政府はアメリカで受ける教育に対し、何らかの規制を設けているか
  • 将来就きたい職種にどのような資格が必要か
  • どんな学生組織に所属したいか
  • 大学を選ぶ際に、信仰している宗教を考慮する必要があるか
  • 入学したいアメリカの大学で取得できる学位は、日本政府の承認を受けているか

ブリッジプログラム

ブリッジプログラムは、英語プログラムでスキルアップをしている間に、学位取得に向けての単位を取ることができるプログラムです。

学問知識は大学入学レベルでありながら、英語の基準を満たしていないためにもう少し英語力を強化しなければならない学生のためのもので、同プログラムには、そのような学生でも受講できるクラスがあります。このプログラムを利用すると、学生がTOEFLの基準を満たして大学に入学した際、既に卒業に向けていくつかの単位を取得していることになります。

コミュニティーカレッジ

世界中でも、アメリカのコミュニティーカレッジに匹敵する学校のある国は多くはありません。

コミュニティーカレッジは公立の短期大学で、準学士号を取得できるほか、4年制大学の前半2年間を修了することができます。留学生の間では、入学基準が低めで学費が安いコミュニティーカレッジに人気が集中しています。技術的な分野で準学士号を取得後、帰国する学生もいますが、留学生の多くは、学士課程の前半2年間をより低額な学費で修了するためにコミュニティーカレッジに入学し、その後、周辺の4年制大学に編入しています。

一般教養

アメリカの大学生の多くは、入学して1年以上経ってから専攻を決めます。中には、卒業が遅れることになっても専攻を変更する学生もいます。専攻分野を決めかねている学生はたくさんおり、毎年、何千人ものアメリカ人学生が専攻未定のまま大学に入学しています。そのような学生は、各自に合った分野を見つけるために、バラエティー豊かな分野で広範囲にわたる科目が学べるリベラルアート(一般教養)を選択しています。リベラルアートは、学生に幅広い豊かな教育を身に付けさせることを目的としています。

一般教養に力を入れている大学では、理系科目から歴史、音楽、芸術、文学のような文系科目まで、幅広い分野から学ぶことが義務付けられます。さまざまなクラスを受講することで、これまで知らなかった興味深い分野に出会え、自分の隠れた才能を発見できるかもしれません。結果として、入学前には考えてもいなかった分野を専攻することさえあるのです。

一般教養の学習自体が価値のある経験です。さまざまな学問分野や考え方に触れることができる上、どの職業にも欠かせない効率的なコミュニケーション能力や批判的思考能力を養えます。実際、多くの学生が、大学院への進学や就職の前に、一般教養を専門に教えるリベラルアート系の大学に通い、バランスのとれた教育を受けることを望んでいます。

 

David P. Anderson, Vice President - Recruitment & Partner Support; ELS Language Centers, the world’s largest campus-based intensive English program provider, offering pathways to 650+ universities worldwide.